外国為替証拠金取引に手を出す

投稿: 2005年5月4日

眠っているお金に働かせようということで、株や投信に、半分興味本位で手を出しているわけだが、今度は為替証拠金取引に手を出してみた。ちゃんと集計していないので分からないが、今のところ、勝率は悪くないはずなのだが、勝ち方がせこい割に負け方が派手なため、僕の金銭感覚からいうと、かなりのマイナスである。 (ただし、投入した資金との割合という意味では、僕自身が感じているほど悪くない、という、自分を慰めるような見方をできなくもない。) 結論からいうと、株に比べてはるかに面白い気がするし、もっとちゃんと学べば僕にも小銭を儲けられる可能性があるもののような気がする。今後ちょくちょく為替取引関連のことを書くことになりそうだが、今回は初めての取引に至るまでのことについて書いてみることにする。

特に海外出張が多かった時期から、為替そのものには比較的強い興味を持ち続けていて、大したことのない金額で、銀行の外貨預金などもやっていた。しかし、銀行の場合、売値と買値の差 (スプレッド) が米ドル/円の取引において 2円もあり、すなわち実際に少しでも儲けようと思うと、少なくとも 2.01円はレートが動いてくれないといけない。たとえばここ数週間では、実はそれ以上の円高が進んでいるが、動かない時は本当に動かない。さらに、動いたとしても、そのタイミングを確実にとらえて、円の買い戻しの手続きをとらないといけない。そして、致命的なのは投入できる金額が少ないため、数円とかいうレベルで動いてくれないかぎり、実感できるような儲けはできないことだ。たとえば 10,000ドル相当の円 (105万円とかそういうレベル) を投入した場合、3円動いて初めて 1万円の儲けである。 (つまり 2.01円動いただけだと 100円の儲けにしかならない。) また、円高の時にドル買いをして始めて円安を待ってドルを売ることしかできず、円安の時にはドルを持っていなければ何もできない、というのも積極的に儲けようという場合には困ったものである。

これらの問題を解決したければ、結局為替証拠金取引がよさそうだという結論に達した。為替証拠金取引というのは、株で言うところの信用取引と同じ考え方のものだ。すなわち、なにがしかの保証金を預け、その保証金を担保にして取引に必要な円または外貨を借りて、それを使って取引を行い、発生した利益を自分のポケットに入れる、または発生した損失が保証金から引かれる、ということだ。たとえば、円安ドル高に進むと思った場合には、現在のレートでたとえば 10,000ドル買えるだけの円を借り、それを使って 10,000ドルを買う。そしてレートがドル高になった時に、そのドルを売って円を買い戻す。借りていただけの円を返して、為替差益は自分のものになる。思惑とは逆にドル安になってしまった場合は、適当なところでドルを (買った値段よりも安く) 売り、円を買い戻す。この場合、差損は保証金から差し引かれることになる。実際にはこのような貸し借りの部分は利用者が意識する必要はないが、これが大まかな仕組みである。

さて、その為替証拠金取引だが、まずスプレッドは業者によっても異なるが、小さいところでは米ドル/円 (USD/JPY) で 5銭程度、手数料も業者次第だが、安い所は無料というところから、片道数銭、ないし十数銭というところが多いようである。したがって、銀行の外貨預金と比較して、随分有利であると言えるだろう。次に、外貨預金の場合は外貨の買いからしか入れないのに対して、為替証拠金取引では売りからも入れるので、円高が期待される局面でも利益をねらえるという特徴がある。また、必要な資金も、業者が定める証拠金の額であり、実際に取引される金額の10分の1から50分の1程度でよい。中にはもっと少ない証拠金で取引ができる業者もあるようだが、その場合、レートが思惑とは逆に動いた場合に、すぐに証拠金が不足してしまい、新たに入金するか、今買い持ちまたは売り持ちしている金額の決済をしなければならない (あるいは自動的にされてしまう) という状況に陥りやすいので注意が必要である。そして、「いくらになったら売る」とか、「いくらになったら買う」という注文の出し方ができるので、その点も外貨預金より便利だと言えるだろう。

昔から為替の取引に興味があった、というのは前述の通りである。また、証拠金取引に関しても、ひまわり証券 が取り扱いを始めた、というのをラジオの CMで聞いて知っていたし興味もあった。しかし、その頃は資産が少ないこともあって、信用取引に対する警戒感が非常に強く、自分には関係のないものだと思っていた。ハイリスク、ハイリターンの物だと感じられたからだ。その考えは、つい最近まで変わらなかった。

たまたま株に興味を持っていろいろと調べる中で、最近口座を作った松井証券で、為替証拠金取引を扱っていることに気づいた。松井証券のホームページには、為替証拠金取引に関して、かなり丁寧だと思われる説明が掲載されている。興味を引かれてこれを読んでみると、自分でちゃんとリスクの管理ができれば、リスクは僕が考えていたほど高くないような気がしてきた。それよりも、為替取引の持つ性質や業者の持つ要因で発生するリスクの存在の方が恐ろしいものに感じられた。

そんなわけで、いろいろと読みあさった結果、興味が増してきたので、本来の目的であった株はさておいて、為替取引をやってみた。最初の数回の取引は、 beginner's luck とでも言おうか、そこそこの利益を生んだ。それらはいずれも外貨の買い持ちだったのだが、調子に乗って売り持ちもしてみたのがよくなかった。短期的に下がるだろうと思っていたので売り持ちにしてみたわけだが、なかなか下がらない。下がらないどころかちょっと上がった状態で止まってしまった。その時売り持ちしていたのがニュージーランドドル (NZD) だったため、持てば持つほど NZDと JPYの金利差を払わなければならず、またその額が結構なものだった。 (実はこれは水曜に売り持ちして木曜に持ち越したためだった、ということが後で分かったのだが…。) 「この調子で金利差を毎日とり続けられてはたまったものじゃない。これだけで精神的に疲れそうだ。」と軟弱な僕は、この売り持ちの NZDをさっさと決済してしまった。これまでの利益を吹き飛ばすどころか、その何倍もの損失だった。しかし、これを取り返そうとしてあまり物事を考えずに新たなポジション (売り持ちまたは買い持ちの持ち高) を作るとろくなことにならないと感じたので、とりあえず一端小休止して、もう少し知識を増やす努力をすることにした。 なお、金利差の受払のことなどに関しても、松井証券の資料に詳しく書かれている。

ここまでの結論:
感で取引して儲け続けられるほど甘いものではない

この後、あれこれとネット上で読みあさり、多少儲け方がうまくなったような気がしつつ、どんどん損もする日々だが、それについてはまたそのうち化工と思う。