点と丸とカンマとピリオド

投稿: 2005年7月2日

句読点を「,(カンマ)」と「.(ピリオド)」、もしくはその全角文字を使って書く人がいる。僕はこれが大嫌いだ。

ご覧いただければ分かるように、僕は句読点に「、 (てん)」と「。 (まる)」を用いている。なぜなら、句読点は日本語の文章の区切りを示すためのものであり、カンマやピリオドは欧米言語の文章の区切りを表すものであるから、日本語で文章を書いている以上、そうするのが当然のことのように感じられるからだ。もう少しどうでもいい理由としては、音声読み上げをさせた際に、いちいち「カンマ」だの「ピリオド」だの読み上げられるのがうっとうしい、というのもある。

周囲の人に聞いてみると、見た目の問題から横書きの場合は「、」や「。」はあまり好まれない場合もあるようだ、ということが分かってきた。手書きの文章においては重要な問題だろう。手書きの場合、文字はテキストの持つ意味を表すだけでなく、視覚的な表現をも伴っているのだから。しかし、電子的なテキストにおいてはどうだろうか。文字は、テキストの持つ意味合いを表すために最善のものが選択されるべきであり、見た目を調整するために意味合いを犠牲にすべきではないのではないだろうか。見た目を変えたければ、違うフォントを使うまでの話である。それをユーザに求めるのは確かに無理のある話だと思う。だとすれば、そういうことを状況に応じてできないアプリケーションに責任があるのだろう。つまり、現状ではアプリケーションや関連する規格がそこまで深く考えて作られていない (ように感じられる) ために、ユーザがアプリケーションなどが持つ問題などを補うべく、本来優先されるべき文字の意味を犠牲にしなければならない、ということなのだと考えられる。

そんなことを考えて、なんとなく Google で、「句読点 横書き」というキーワードで検索してみたところ、興味深いページがあれこれと出てきた。一番最初に出てきた 横書き文の句読点について というのを読んでみるだけでも、随分興味深い。

白状すると、僕はこの「カンマ」や「ピリオド」が多く使われるのは、単に情報系の人たちが多く使っている日本語変換システムのデフォルトがそうなっているから、とかそのくらいのことだと思っていた。しかし、上に紹介したページを見ると、どうやらそういう訳ではないらしい、どころか、実はかなり歴史のある問題らしいことも分かる。

このページを書かれた方も言っておられるが、やはりアプリケーションが見た目を調整すべきだろう。 Webの世界で、よくセマンティクスとプレゼンテーションの分離、ということを言うが、まさにそれである。プレゼンテーションを意識してセマンティクスを犠牲にするような文字の選択をすべきではないと思うのだ。そして、そんなことを考えているのかどうかは分からないが、 Webのアクセシビリティについて取り組む人たちの名かにも「カンマ」「ピリオド」派がいるのが、僕にとってはきわめて苦々しく感じられる。何かの考えがあってのことならいいが、そうでないなら本質を分からずに取り組んでいるように見えてしまうのである。

いろいろと調べたあげく、結局僕はこれまで通り「、」と「。」を使い続けることにした。もし印刷や読み手の都合で他の組み合わせの方がいい場合も、「、」と「。」なら一括置換で問題解決できるからだ。「,」や「.」を使って書かれた文章を「、」や「。」の文章に変換しないといけない場合のことを考えてみて欲しい。英文が混ざっていたり、そうでなくても「3.14」とか「U.S.A.」とかいう表記があったら、一括置換ではどうにもならない。そういう意味でも、そしてセマンティクスを正しく記述するという意味でも、僕は「、」と「。」を使い続けることにしたのだ。

ちなみに、似たような考えの基に、僕は半角と全角の両方がある文字に関しては、基本的に半角しか使わないように心がけている。