Niftyと Mixiと Amazon

投稿: 2006年3月26日

今更だが、最近 Mixiを使っている。というのは、このブログを Mixi経由で見に来てくれている人ならご存じのことだろう。古い友人の一人に、「Mixi上で日記付け始めたから良かったら読んで」と招待されたのが半年くらい前の話なのだが、つい最近まではその人の日記を読む以外のことにはほとんど使っていなかった。ところが、ふとしたことから昔パソコン通信というのが全盛だった頃から仲良くしてもらっている Nifty-SERVEの頃の仲間たちが Mixi上に結構たくさんいることが分かって使うようになった。

その仲間たちも言うことだし、そうでない人も昔の Niftyを知っている人たちが時々言うことなのだが、 Mixiは昔の Niftyに似ている、というのだ。おそらく、 Mixiのコミュニティが Niftyのフォーラムに似ていて、分からないこととかも、適切なコミュニティで質問すればだいたい解決する、というような点などが類似しているのかなと思う。それから、なんとなく感じられる閉鎖的な雰囲気なども、似ていると感じさせる要因の一つかもしれない。 (とは言うものの、今や Mixiの利用者数はかなり多いので、閉鎖性なんてあってないようなものだと思うが。)

しかし、情報を得るためのツールとして考えた時に、結構大きな違いもあると思う。 Niftyの場合、フォーラムの管理者はお金をもらって情報の交通整理をしたり、人によっては質問に答えたりしていた。 (お金をもらっていたというのは、みんな知っていたことだが実際には秘密だったらしい。) ということで、管理者の知識量とかコミットメントの度合いとかにも影響されたのだが、フォーラムでやりとりされていた情報の質は、そこそこ高かったと思う。また、利用者がアクセス料金を支払っていたというのも大きいような気がする。誰もお金を払って S/N比を下げるようなことはしたくないだろう。まあ実際にはそういう困った金持ち (?) もいたと思うが、フォーラムに関して言えば、前述の管理人の存在もあって、それほどひどいことにはならなかったのだろう。 (少なくとも僕が出入りしていたフォーラムではそうだった、という話だが。)

一方 Mixiでは、情報を探す側も提供する側も、お金を払ったりもらったりということがない。それが悪いとは言わないが、そのせいで人によっては自分の発言にあまり責任を持たなくなってしまっているのかもしれないと感じさせられることがある。また、 Niftyのような管理人が存在しないため、コミュニティによっては、質問はたくさん並んでいるものの、答えがほとんどない、というような状態になってしまっているものもあるようだ。 (という話を友人から聞いた。) Niftyの場合はメールのやりとりをすれば本名が明らかになる仕組みだったのに対して、 Mixiではずっと匿名でいられるというのも、そういう状況を生みやすい要因なのかもしれない。

アクセスする上での使い勝手という点では、 Mixiは Niftyに遠く及んでいないと思う。もちろん Niftyは TTY型のシステムで、 Mixiは Webなので簡単に比較することはできないのだが、今や Webだから実現できないというような機能はそれほど多くはないだろう。特に不便さを感じるのは、未読管理である。 Niftyは、目的のフォーラムに移動してあるコマンドを送信すれば、まだ読んでいない書き込みだけをまとめて受信することができたが、 Mixiでは、いちいちどこまで読んだか覚えておかない限り、未読だけを読むということはできない。特に、日記などについたコメントに関しては、とても使いづらい。仮にどこまで読んだか覚えていたとしても、いざ未読コメントを探そうと思うと、これは結構めんどうなものである。

Mixiの使い勝手と言えば、ちょっと前のデジタルARENAに、 リニューアルされたミクシィがネットに波紋を投げかける という記事が出ていた。最近の Mixiは機能が増えるにつれて画面の横幅が広がり、水平スクロールをしないと見えなくなりつつあって不便である。本来は見た目などというのはユーザ側で調整できるようにすればいいのだろうし、流行りの Web 2.0的に言えば、各機能を利用するための APIを公開して、ユーザ側に好きなインタフェースを開発させればいいはずである。でも、それができないのは確実に広告がユーザの目に触れるようにしないといけないからではないか。と、かいつまんで言えばこんな内容である。 (ちなみに記事の中では、 Mixiを便利に使うためのツールも紹介されている。) 確かにそうだろう。広告収入に頼っているサービスにおいては、これは重大な問題である。記事にもあるが、広告も考慮した APIを作ることができれば、かなり便利になれるのかもしれない。しかし、逆に言えばそれが作れない限り、 Mixiやその他の広告収入に頼るサービスは、永遠に使いやすくならないのかもしれない。

再び Niftyとの比較になるが、 Niftyの場合は利用者から料金をとっていただけあって、利用者にとって使いやすくなる改善は積極的に行われていたと思うし、それをやりやすかったのだとも思う。前述のように Mixiではなかなかそうはいかないだろう。もう一つ比較対象として挙げたいのは Amazonである。言うまでもなく Amazonの場合は利用者の買い物から上がってくる収入が主な収入源だろう。したがって、 Mixiと異なり、利用者が商品を買ってくれるための変更をどんどんすればそれで良い。そしてそれは、多くのユーザにとって使いやすいサイト作りにつながるのだろう。 (まあ僕にとっては決して使いやすいものではないですが。) さらに、 Amazonの場合は Amazon Web Serviceと称して Amazonのいろいろな機能を利用するための APIを公開している。これを使えば、ユーザは自分好みの Amazon cloneを作れることになる。そんなサイトの例として、先日友人に教えてもらった Amagle というのがある。これに触発されて、僕もきわめてシンプルな Amazon cloneを作ってみたい衝動に駆られている。

ところで、1週間ほど前のことだが、冒頭に触れた Niftyが Nifty-SERVEという大手 BBSだった頃からの仲間たちと久々に会った。その中の一人の壮行会と称して、みんなで集まり、うまい食事と酒と会話を楽しむ会だった。ある種不思議な集まりだと思うのだが、この仲間たちとの会はいつも楽しい。久々に会ってもあまり久々な気がしないし、すぐに笑いに満ちた会話が始まる。実は僕はここのところどうも気分が沈みがちなのだが、この時の集まりには随分助けられた思いだ。十数年前に彼らと出会った時に、単なる生意気な若造 (って今もそんなようなもんですが) の僕を受け入れてくれて、そして今でもつきあい続けてくれている彼らに感謝である。

いろいろと書いたが、これも Mixiが僕たちの距離を久々に縮めてくれて実現したのかな、という気が少しだけする。少なくともメールでのやりとりだけに比べると、みんなとの距離が近くなっている気がする。というわけで、 Mixiにはぜひもっとがんばってもらいたいと思うのだ。