松井証券の新手数料

投稿: 2006年4月4日

以前の記事で松井証券について書いたことがある。この記事の中で紹介した、松井証券の松井社長の、今年の初めの挨拶、というのを読んで以来、 1ユーザとして、松井証券には期待していた。で、とうとう今週から取引手数料が改定され、まさに希代に答えてくれた、という感じがしている。

松井証券の場合、これまでも、 1日の約定金額の合計に応じた手数料を払う方式を採用している。この方式の場合、何銘柄売買しても、約定金額の合計が特定の額を超えなければ手数料は同じであり、また指し値注文か成り行き注文かで手数料が違ってくるなどということもない。僕が調べた他の証券会社の多くが、 1注文につきいくら、とか、 1約定につきいくら、とかいう形で、かつ、指し値注文が成り行き注文よりも手数料が高い、というような形になっているようだった。

と、これだけ書くと松井証券の手数料の方が有利であるように思えるのだが、問題はその金額設定だった。これまでは、 10万円以下は無料、 10万〜300万で 3150円、 300万〜600万で 6300円、といった感じだった。したがって、 1日に 200万ちょっとの取引をする人も、 10万とか 20万程度の取引をする人も、同じ手数料ということになってしまった。これでは僕のような少額投資家には厳しい。もちろん、 10万以下の株の取引では、松井証券を使わない手はないわけだが、 9万ちょっとで買った株を 10万ちょっとで売りたい、なんて場合には松井証券で売買すべきか、悩みどころである。したがって、僕はこれまで、ほとんどの取引を kabu.comでやっていた。

kabu.comの場合、僕のような少額投資の場合は、 1注文につき片道 500円という手数料である。ただし、松井証券のように日計り取引だと片道分が約定金額の合計には含まれない、などということはなくて、往復では 1000円となる。 (なおこれは約定金額が 2万〜20万の場合で、金額に応じて手数料も高くなる。) そして、この手数料は成り行き注文の手数料であり、指し値注文の場合には片道 1025円となる。さらに、 20万〜100万の場合、指し値では片道 1575円となり、もし日計り取引をすれば、松井証券と同じ金額ということになる。もちろん成り行きで取引をすれば手数料も安く抑えることができるのだが、そんなことは始終株価を見ていられる環境にいない限り難しいだろう。そういった意味で、収益機会の現象にもつながるし、また損切り注文を入れるのも、手数料を意識して躊躇したり、あるいは実際の損切りポイントよりも少し上に注文を入れたりすることになってしまいかねない。だから、僕はこれまでどうも積極的に株取引をしようという気になれなかった。

というのがこれまでの状況だったわけだが、松井証券の新しい手数料は、僕のような少額投資家にとってはなかなかありがたい。具体的な手数料については、 松井証券のページ を参照していただくのが良いだろう。基本的にはこれまでと変わらないのだが、これまで約定金額 300万以下が一律で同じ手数料だったのが、約定金額 10万〜30万、 30万〜50万、 50万〜100万、 100万〜200万、といった具合に、より細かく区切られるようになった。そして僕の場合は、ほとんどの場合 10万〜30万、たまに 30万〜50万、というところに当てはまることになるだろう。 10万〜30万なら手数料は 315円、 30万〜50万の場合は 525円、ということになる。これは画期的だ。 以前の記事でも触れた ETFの取引の場合、これまでは kabu.comで取引すれば、指し値注文の場合、往復で 2050円の手数料が必要となった。しかし、この松井証券の新手数料なら、日計り取引なら 315円、そうでなくても 630円で良い。これは大変にありがたい。

実は僕みたいな超少額投資家と違って、もっと多くの金額を投入している投資家にとっては、取引方法によってはこの松井証券の新しい手数料も、必ずしも安いものではないのだと思う。しかし、必ずしも大金持ちではない人々も株式投資に興味を持ち、市場に参加するようになってきている今日においては、この手数料はなかなか魅力的なものとなるのではないだろうか。これがきっかけで、手数料の値下げ合戦などということになるかもしれないが、それは我々にとってはありがたいことだろう。もちろん、それで痛手を受けてしまう証券会社が出てきても不思議ではないので、我々も十分注意しておく必要はあると思う。これからのオンライン証券各社の動向に注目していきたい。