Wikipedia

投稿: 2006年7月16日

これを読んでくださっている人の中にも、Wikipediaを利用したことがある人は少なくないだろう。 Wikipediaで Wikipediaを検索してみると、 Wikipediaは 2001年に始まったらしい。しかし、僕が Wikipediaのことを知ったのは、たぶん 2年から3年前のことだと思う。初めはそれほど注目していなかったのだが、最近では Googleで何か検索した時に、 Wikipedia上の記事が検索結果の上位に登場することも珍しくなくなってきたこともあり、気づいてみれば折に触れてお世話になるようになっていた。その Wikipediaに関して、最近驚いたことを二つばかり。

まず一つは、サッカーの中田英寿が引退を発表した時のこと。正確な時間は分からないのだが、引退が発表されてから数十分後に Wikipediaで中田英寿の欄を見てみると、既に引退の事実が記述されていた。その時思ったのだが、おそらく世界のあちこちにいる Wikipedia の登録ユーザの何人もが、ニュースを聞いた瞬間に「あ、更新しよう」と思ったのではないだろうか。そして、そのうちの一人を除く全ての人が、「お、もう更新されてる……、早!!」と思ったことだろう。このようなボランティアベースのプロジェクトで、それなりの網羅性を持っていることだけでも驚きだが、速報性まで持ってしまうと恐ろしいものだ。後は、信憑性をどう保つかということが、一番難しい問題として残るのだと思うが、プロジェクトの性質を考えると、期待以上の信憑性が確保されているような印象である。

もう一つ驚いたことというのは、その信憑性に関連する話だ。最近、まだ発表されていないセキュリティ関連の論文と言うか解説記事というか、そんな物を読む機会があった。その内容についてはともかくとして、驚いたのは、参考文献として、 Wikipedia上の記事がいくつも列挙されていたことだ。確かにこの文書の筆者はこれらの記事を参考にしたのだろう。そのことをとやかく言うつもりは全くない。しかし、 Wikipedia上の記事を参考文献として挙げるのは、明らかにやるべきことではないだろう。なぜなら、 Wikipedia上の記事は常に変更される可能性があり、したがって、参照されている記事が、今も論文執筆時と同じ内容である保証はどこにもない。また、極論を言えば、論文の筆者が自分の論文にとって都合がいいように Wikipediaの記事を編集することもできる。そして、こういう点も含めて、内容に対する信憑性が保証されていないわけだから、 Wikipedia上の記事を根拠にした論理展開というのは、根拠がない議論だと言われても仕方がないだろう。そして今回の場合、論文が扱っている内容がセキュリティ関連ということだったので、なんともお寒い話である。

というわけで、便利な Wikipediaだが、その性質を理解して活用したいものである。 (と、なんだかどうでもいいようなまとめになってしまった…。)