パスネット復活
先日 PASMOが使えるようになった数日後、たまたま電車に乗ったら、その時持っていたパスネットの残金がなくなった。手持ちの SUICAにはそれなりに残高があったので、これでもうパスネットを買うことはないだろうと思った。そして僕の計画では、程なくオートチャージ対応の PASMOを手に入れて、 SUICAも JR東日本に返還してデポジット 500円を取り返す、というつもりだった。ところが、そんなことを思って 1週間もたたないうちに、昨日パスネットを購入するはめになってしまった。
僕は通勤経路の定期券 (磁気式) を持っている。普段はこれを使って通勤しているのだが、昨日は諸事情により、普段とは別の、定期券区間外の駅から電車に乗る必要があった。パスネットを使っている場合、このような時にはパスネットで入場し、下車駅 (定期券区間内) でパスネットと定期券を 2枚重ねて自動改札機に入れればよい。しかし、 PASMOまたは SUICAで入場した時のことを考えてみると、そう便利なものでもないような気がしたのだ。つまり、下車する時に、もしまず PASMOを改札機に読み取らせてしまうと、定期券区間も含めた全区間の運賃が取られてしまう。だからと言って、磁気式定期券を改札機に入れても入場記録がないからエラーになってしまう。もしかすると生産期なら対応できるのかもしれないとも思ったが、考えても仕方がないので乗車駅で駅員に聞いてみた。その結果、予想通り、「下車駅の改札口の駅員に申し出て精算してください」というような答えが返ってきた。それは大変に面倒なので、仕方なく、もう買うことはないだろうと思っていたパスネットを 1000円分だけ買って、これを使って入場した。今持っている定期券は来月初めまで有効なので、どうやら少なくともそれまでの間はパスネットも持っていないと何かと不便になりそうである。
改札機に限らず、システムが新しくなる場合には、こういう過渡的な段階というのが存在するわけだが、大量にいる鉄道のユーザにこのような不便を強いるようなやり方はどうも納得がいかない。僕のように今の定期券が切れたらもう定期券は持たないという人や、記名式 PASMOに定期券を移行できる人には単なる過渡的な 自称で、我慢してやればやがて解決する話だと考えることもできる。しかし、 3社以上にまたがる経路の定期券を使わないといけない人のように、定期券を 2枚以上持たないといけない人たちは、僕が昨日遭遇したような状況にしばしば出会うことになるのではないだろうか。この人たちにとっては、 PASMOの導入でこれまでよりも便利なった部分もあるだろうが、明らかに不便になった部分もあることになる。そういう人は全体から見れば少ないのかもしれないが、新しいシステムの導入の結果としてこれまでなかった不便を強いられるような人が生まれてしまうのだとすれば、それはやはりシステムに問題があるのではないだろうか。民間企業が客相手にやっている商売なのだから、もっとちゃんと考えて欲しいものだと思う。鉄道会社は、仮に少々不便でも我々ユーザの多くは彼らのサービスを使わないという選択肢を持ち合わせていないから、ユーザの利便を徹底的に追求しようという姿勢に欠けているのではないかとさえ感じてしまう。
ところで、無事にパスネットで入場したので本来ならば後は下車する際に定期券と重ねてこのカードを改札機に入れて話は終わり、のはずだったのだが、改札機が誤った処理をしたのか、はたまた 2枚差しに対応していなかったのか、なぜかパスネットから全区間の運賃を引かれてしまった。そして結局駅員の所へ行って状況を説明し、取られすぎた分を現金で返してもらう、などというばかげたことをしなければならなくなって、いったい何のためにわざわざパスネットを買ったのだかさっぱり分からないようなことになってしまった。だから、実はパスネットを持っていてもいなくても、大して変わらないのかもしれない、などとも思った。