デジタルカメラと僕
デジタルカメラが普及し始めたのは、まだ僕が学生だった 10年くらい前のことだったと思う。周囲の友人たちが手に入れたのを見て、なるほどこれは便利そうだ、なんて思ったものだ。そして僕自身も、フィルムカメラと異なって、どんなミスショットをしても実質的に無駄になるものが何もない、というデジカメの特徴を魅力的に感じ、 99年頃に 1台購入したことがある。購入してしばらくの間は、出張で出かけた展示会で展示物を撮ってみたり (いや正確には撮ったつもりになってみたり) 、記念撮影の時に自分のデジカメも渡して撮ってもらったりしていた。人に撮ってもらったものはそれなりに使える画像だったし、自分で撮ったものの中にも、少しくらいは使えるものがあった。そして、自分で撮った大量の使い物にならない画像データは、メモリーカードから消し去ってしまえばよく、思惑通り、フィルムカメラとは異なり特に何も無駄にすることなく、写真を撮りためるということができるようになった。しかし、しばらく使ってみた結果、少々面倒なことに気づいてしまい、それ以来デジカメはお蔵入りとなり、これまで新しいものを買おうとも思わなかった。
その面倒なことというのは、次から次へとたまっていく写真の整理が、僕一人ではどうにも難しいということだ。枚数が少ないうちは、それぞれの写真について誰かに説明してもらって、それがだいたい分かるようなファイル名やフォルダ名をつけて整理することでどうにかなっていた。写真そのものを見て内容を確認できる場合は、この方法でもそれなりに管理できると思うのだが、写真を見ることができない僕の場合、枚数が増えるとこの方法は (言うまでもなく) 破綻する。そしてもう一つ。僕の場合は、撮ってきた写真の中から使えるものとそうでないものを選別する作業を誰かにしてもらわなければならないのだが、枚数が多いと、この作業は実に煩雑になってしまう。写真 1枚ずつに関して、そのファイル名、それが使える写真かどうか、使える写真ならその内容は何か、という情報を書いたファイルを作ってもらい、それに基づいて僕がファイルを消したりリネームしたり移動したりして整理する、とこんな感じになってしまう。そして、使える写真の場合、その内容をちゃんと説明できる人というのは以外に少ない。つまり、「きれいな若い女性が写っている」ということは誰でも言えるが、「○○さんの写真」ということは、○○さんのことを知っている人にしか説明できない。だから、選別作業を頼む場合は、どのファイルはいつどこで撮ったものなのかを思い出した上でなければならないわけだ。これもなかなか面倒な話であった。写真というものに対して全く執着がない僕は※1、そこまで面倒な思いをしてまで写真を撮りためることに意義を感じなかったので、そのデジカメはお蔵入りになってしまったわけだ。
ところが、先日購入した携帯電話には、別に欲しくもないのにカメラがついていた。それで、おもしろがって折に触れて写真を撮ったり動画を撮ったりしていたのだが、やはり以前のデジカメの時と同じ問題が出現した。とりあえず撮影して、それを側にいる人に見てもらって取捨選択する作業、その後自分で整理する作業、これがやはり面倒なのである。 (動画については音を聞けば確認できるので、実はこれは結構便利に使えるかもしれないという気がしている。)
しかし、はたと思いついてしまった。話題になって久しい Flickrが使えるのではないかと。撮った写真をとりあえず片っ端から Flickrにアップロードして、それを誰かに見てもらってコメントやタグをつけてもらえば、がんばってファイル名を考える必要もないし、後でどのファイルがどの写真か分からなくなる、なんてこともなくなるのではないか。それに、僕が適当に撮った写真が時系列で (無意味に) 並んでいたりするのも、それはそれで面白いかもしれない。そんな風に思って調べてみると、どうやらかなり僕のニーズを満たしてくれそうなサービスであることが分かった。とりあえずアップロードした直後の写真は、友人にのみ公開、としておけば問題も発生しにくいだろうし、ケータイからメールでアップロードすることもできるので、撮ったら上げる、というのも簡単そうだ。メールでアップロードした写真に、あらかじめ指定した特定のタグを自動的に追加することもできるので、まだレビューされていない写真かどうかを判別するのにも使えそうだ。
そんなわけで、早速 Flickrの利用登録をして※2、ケータイに入っていた数枚の画像データ (今やこれらが何の写真なのかはさっぱり分からない) をアップロードしてみた。僕の contact listに入っていない人には見えないので、まずは「友達捜し」から始めなければならないのだが、もしこれがその「友達」にも僕にもあまり大きな負担にならない方法であることが分かれば、新しいデジカメを買うのも悪くないような気がしている。そんなわけで、 Flickr上で僕の友達になっても良いという人はご一報ください。 :)
※1 これは、必ずしも僕が目が見えないことによるものだけではないと思われる。目が見えなくても、写真を撮ったり集めたりするのが好きな人も世の中にはたくさんいるので、僕がそうだからと言って、目が見えない人はみんなそうだ、なあんていう風には思わない方が安全である。僕自身は、後で自分で確認できないものに価値を見いだすなんて……、と考えているのではあるが、確かに後で人に見せたりするような用途があることは事実なので、全く無価値だとも思わない。
※2 Flickrの利用登録、なぜか Sleipnirだと Yahoo! IDで sign in したところで固まってしまった。 Firefox や IEで sign in して、 screen nameの設定まで済ませれば、後は sleipnirでも問題なく利用できるようではあるが。 Sleipnirユーザの方はうまくいかない場合には IEや Firefoxで試してみると良いと思われます。