我が家で焼きたてパン
このブログを読んでくれている友人に、最近どちらかというとまじめな内容の記事が多くて退屈なので (とはっきりとは言わないが) 、衝動買いの話を書け、とか、どうせ書いてないだけで衝動買いはしてるんだろうからちゃんと書け、とか言われることがある。言うまでもなく衝動買いは相変わらずである。実は書きたいねたはいくつかあるのだが、「しっかり使い込んでから書こう」などと思っているうちに時間がどんどん過ぎてしまうのだ。何となく気が向いたので、とりあえず年明け早々に買ったホームベーカリーについて書いてみることにした。このホームベーカリーについては、買った頃にちょっとだけ Mixiに書いたことがあるので、「例のホームベーカリーについて詳しく聞かせろ」という声もそれなりにあったりしているのだ。
実は随分前から連れ合いがホームベーカリーには興味を示していたのだが、僕自身はあまりパンを食べないし、それより何より表示が見えなくても操作できるのかどうかというのが心配だったために購入には踏み切れずにいた。ところが、昨年の末にデジタルARENAで 3回にわたって掲載されたレビュー記事 (リンクは第1回の記事) を読んで、俄然この製品、ナショナルの自動ホームベーカリーSD-BT153が欲しくなってしまった。この製品、パンだけでなく、餅もつけるし、うどんやパスタの生地もできるという多機能な製品である。僕はパンはどうでもよかったのだが、つきたての餅とうどんやパスタに惹かれた。ただ、多機能な家電というのは往々にして操作が複雑で、表示が見えないと話にならないものなので、最初はそれほど買う気にはなっていなかった。しかし、前述のレビュー記事にも書かれているのだが、この製品には音声ガイドがついているというので、「これはひょっとするとどうにか使えるかもしれない」と思うようになっていた。そんな時、友人の一人が Mixiで書いている日記で、彼女がこの機種を購入したことが判明した。そこで早速迷惑も顧みずあれこれと質問してどうにか使えそうな気がしてきたので、購入に踏み切った。
しかし、ホームベーカリーだけ買っても仕方がない。ちゃんとパンを焼こうと思うと、正確に材料の重さを量らねばならない。もちろん、市販のパンミックスを使うという手もあるし、実はこの方が楽だとは思うのだが、割高だし、自分でいろいろと材料を工夫する方が面白そうなので、やはり秤は必要なのである。が、きっちりと分量を量って料理した経験が皆無に近い僕がキッチンスケールなんか持っているはずもなかった。そこで、ホームベーカリーを発注する前に、視覚障害者向けの製品の販売もしている日本点字図書館へ行ってみた。「キッチンスケールが欲しいんですが」と尋ねてみると、紹介してくれたのはこんな上皿秤だった。これはなかなかクラッシックというかなんというか…。目盛りの単位は 50g。それよりも細かい計測ができるように 10gと 20gの分銅がついているという代物である。つまり、どんなにがんばっても 10g単位でしか計れないことになる。もちろんもっといろいろな分銅を用意すれば細かく計れることになるが、キッチンで使うことを考えると、分銅がさびたりしないように気を遣わないといけないし、何より手で読み取る形のものなので正確さという意味ではデジタルにはどうがんばってもかなわない。そしてパン作りにおいては 1g単位での計測が必要なので、この製品ではどう考えても力不足である。というようなことを言ったら、点字図書館の職員が、近くにある日盲連 (日本盲人会連合) で、デジタルの物を売っていると教えてくれたので、早速見に行ってみた。こちらは、 2000gまで計ることができて、 1000gまでは 2g単位、それ以上は 5g単位で計れるということだった。 1g単位ではないが、いいかげんな僕には十分な細かさであるような気がしたので、「じゃあこれください」と言ってみたのだが、値段を聞いて驚いた。税込みで 14,000円、ホームベーカリーの半額以上である。が、これがないことにはパンも焼けないので、あきらめてこれを買って帰ってきた。
秤も買って後へ引けなくなったので、ネット上をあちこちと探して、その時一番安かったところに早速発注した。すると、なんと次の日の朝届いた。そこで、早速餅をついてみた。 (笑) ところで、近所のスーパーに餅米ときなこを買いに行って驚いたのだが、最近餅米にも無洗米があるものらしい。僕は米をとぐのが好きではないので、迷わずこの無洗米を買ってみた。さて、それで餅だが、 1時間ほどでできた。食べてみるとこれが結構おいしい。これだけで十分買った価値がある、と満足していたのだが、実はこの餅つき機能、少なくとも餅米を 3合は入れなければならないので、一度作ると消費するのにしばらく時間がかかってしまう。そんなこともあって、その後餅は作っていない。
次にパンを焼いてみた。とりあえず最初は不安だったし、我が家に材料がそろっていなかったので、パンミックスを1箱だけ買って、それを使ってみた。普通の食パンコースで焼いてみたところ、 4時間程度で焼き上がった。焼き上がる 30分くらい前になると、パンがそれほど好きではない僕ですら空腹を感じるほどの、パンの焼ける良い香りがしてきた。焼き上がったパンを取り出して、早速切ろうと思ったのだが、冷ましてから切らないと柔らかくてうまく切れないというのをどこかで読んだので、切るのは後回しにしてとりあえずちょっとつまみ食いしてみた。するとこれがなかなかうまい。 30分ほどたってだいぶ冷めたので早速切ってみたのだが、これが思いの外難しい。冷めてもなお柔らかいので、まっすぐ切れない。そして薄く切ろうとするとひどいことになった。ということで、初めてのパンはかなり不格好なものにはなったものの、味はおいしいものだった。ちなみにその後いろいろと調べて、切る前に包丁をガスコンロの火で 10秒程度熱してやると切りやすくなること、またパンをスライスするのに便利なガイドのようなものがあることなどが分かった。そのガイドを導入して以来、とりあえずそれなりにまともにスライスできるようになった。
うどんやパスタも作ってみた。わざわざ楽天でパスタマシン (送料込みで 2,000円くらい) を買ってきて挑戦したのだが、これはなかなか思うようにはいかなかった。ホームベーカリーの説明書に書かれている作り方は、生地を手でのばしたり切ったりすることを前提としているようで、このとおりにやるとだいぶ柔らかい生地になってしまったのだ。丁度いい堅さにするためには、もう何度か挑戦しなければならなそうなのだが、うどんやパスタは作り終わった後にあちこちが粉だらけになって面倒なので、その後は挑戦していない。
ただ、パンに関してはいろいろと試している。これまで作って気に入っているのは、クルミを入れたフランスパン (これは特に工夫する必要はなくて、材料を入れてホームベーカリーにお任せ) 、ベーグル (これは生地だけホームベーカリーに作らせて、後は手作業なのでちょっと面倒) あたりだが、まだまだいろいろと試してみたいと思っている。
ところで、当初心配していた「見なくても使えるかどうか問題」だが、どうやらほとんどの機能は問題なく使えるようだ。それに関する詳しいことは、僕がメモ代わりに使おうと思ってこっそり立ち上げたWikiにまとめてあるので、そちらをご覧いただきたい。
ということで、パンが好きな人にはもちろん、それほどでもなくてもおすすめの一品でした。 (これでご飯も炊ければ完璧なんだが…。)