テロリストは遊んでいるわけではないと思うが…

投稿: 2007年8月4日

またまた最近引用することが多い産経のニュースサイトイザ!に掲載されていた記事から。

イザ! - テロ特措法の自衛隊派遣、国会事前承認は不要 小池防衛相

 同法延長の必要性については「(テロ特措法に基づいて)インド洋に海自が存在する意味は極めて大きい。テロリストに、インド洋をプレーグラウンド(遊び場)にさせないという日本の強い意志を表明することになる」と強調した。

このように小池防衛相の発言 (の一部) が紹介されている。というような書き出しだと、テロ特措法についてあれこれ言いたいのだな、と思われるかもしれないが、僕が気になったのはそこではない。僕が気になったのは「プレーグラウンド (遊び場)」という部分だ。

確かにプレーグラウンド (playground) は、一般に遊び場とか運動場とか訳されることが多い。しかし、今回取り上げられていたような文脈では、少し意味が違うのではないかという気がして、読んだ瞬間に違和感を持ってしまったのだ。そこで、 Dictionary.comで調べてみると、「遊び場」といった意味合いの記述に混じって、以下のような記述が出てきた。

Dictionary.com - playground

an arena of operation or activity.

「活動のための場所」とでも訳せばよいだろうか。上で挙げた小池防衛相の発言の文脈では、この意味合いがしっくりくるような気がするのだがどうだろうか。きっとテロリストにしたって「遊んでいる」わけではないと思うし。言葉を扱うプロである新聞記者なのだから、正確な意味が伝わるような記事を書いて欲しいと感じる。

しかし、実際に何が正しい意味なのかというのは、発言者本人にしか分からないとも言えるだろう。新聞記者も言葉のプロだが、政治家だって言葉が商売道具だ。何度も書いているような気がするが、政治家はその言葉で自分の思い、信念を表現し、国民に伝えるのが仕事であるはずだからだ。閣僚ともなればなおさらだ。そういう人なのだからこそ、意味合いが不明瞭になりやすい言葉を避けて語るべきだろう。

プレーグラウンド程度の話であれば、おそらく我々の生活への影響もないだろうから、こんなにこだわる必要もないかもしれない。しかし、こんな小さなことですら意味合いが不明確な言葉で語る人が、本当に大事なことを語る時に明確な言葉で語ってくれるのかが気になるのだ。本当に大事なことも曖昧にされてしまいそうな気がしてならないのである。

僕自身も言葉で人に何かを伝えることが仕事の一部だ。だから、なるへべく意味合いが不明確な言葉は使わないように心がけている。特に外来語については不明確になってしまうことが多いので注意している。もっとも、文章を書くときはそれなりに気をつけていても、しゃべるときとなると以外とそんな言葉を使ってしまっているのかもしれない。と、僕自身ももっと注意しないといけないな、と改めて感じさせてくれたきじである。