SFCのWebサイト、リニューアルその後

投稿: 2008年12月21日

先日の記事で書いたSFCのWebサイトのリニューアルだが、その記事で追記したように、応急処置 (と信じたい) が施されて、現在は新旧両バージョンへのリンクが張られたページがトップページになっている。しかし、このトップページを見る限り、少なくともこの対応をした人が問題の本質を理解していないように思え、今後が実に心配になってくる。

リンク切れ問題には対応できていない

まず、旧サイトはwww.sfc.keio.ac.jp以下ではなく、www-old.sfc.keio.ac.jp以下に再構築されている。そして、新サイトはと言えば、www-new.sfc.keio.ac.jp以下に構築されている。つまり、現在SFCのメインのサーバであるwww.sfc.keio.ac.jpにはほとんどコンテンツがない状態になっている。

これは既にいろいろな人が指摘していることだが、これではさんざん批判されているリンク切れ問題はそのまま残ってしまっている。なぜ旧サイトをwww.sfc.keio.ac.jp以下に復活させなかったのか、あるいは、なぜwww.sfc.keio.ac.jp以下へのリクエストに対して302を返してwww-oldに一時的にリダイレクトするようなことをしないのか、全く理解できない。 (mod_rewriteでも使えばあっという間だ。) 技術的に対応するのが不可能な問題であるならまだしも、このように僕ですらとりあえずの解決策を思いつくのに、それすらしていないというところに、運用者や意志決定をしている人々の意識や知識の低さが感じられてしまう。

もしかすると、旧サイトをwww-oldとしたのは、今後新サイトをメインのコンテンツとして、旧サイトはやがて消えゆくものだという考えがあったのかもしれない、という見方もできなくはない。しかし、そうだとしたらなぜ新サイトがwww.sfc.keio.ac.jpではなくwww-new.sfc.keio.ac.jpの下に構築されているのだろうか。全く理解できない。

アクセシビリティのことを分かっているのか?

もう一つ心配なのは、結局担当者はアクセシビリティについて何も分かっていないのではないかという点だ。細かいことだが、暫定 (と信じたい) トップページには、前述の通り新旧サイトへのリンクが掲載されているのだが、これに加えて、慶応義塾全体のサイトのトップページへのリンクも掲載されている。このリンクだが、慶應義塾のペンマークだと思われる画像が使われている。しかし、この画像にはalt属性が指定されていない。こんなアクセシビリティを考える上で当たり前のこと、しかも特に手間がかからないこともろくにやらないというのは、アクセシビリティについて知らないのか、知っていてもどうでもいいと思っていて意識していないのか、そんなところなのではないだろうか。

考えてもみれば、先日も書いたように旧サイトだってアクセシビリティ的に見れば決してほめられたものではなかった。つまり、そもそもアクセシビリティに対する意識は大して高くなかったのかもしれない。情けない話しだけれど。

Webの使われ方を分かっているのか?

これはリニューアル後の対応とは直接関係がない話だが、気づいてしまったので書いておくことにする。僕のRSSリーダにはSFCのサイトに掲載されるニュースのRSSが登録されている。これを昨日眺めていたら、こういうタイトルが目に入った:
「【予告】SFC公式ウェブサイト RSSフィードアドレスの変更」
ちなみにタイムスタンプは12/18/2008 22:00:00となっているから、リニューアルの直前とか、そういうタイミングで掲載された、ということなのだろう。

これをリニューアル後に見つけてクリックしてみたのだが、既にそのページは消滅していて、新しいアドレスは分からなかった。 (このRSSは、いわゆる「全文配信」をしていないので、クリックしてたどり着けなければその情報を見ることはできない。) 担当者は、RSSがどのように使われているのか、何のためのものなのかを理解していないとしか思えないと感じさせられた。このことから、そもそもWebがどのように使われているのかをあまりちゃんと考えずに運用されているのではないかという疑念すら生まれてきてしまった。

Webに対する真剣な取り組みを

ここまで述べてきたように、SFCのWebを運用したりそれにかかわる意志決定をする人々は、Webというメディアの特性、その意味、それにかかわる技術などを十分に理解しているのかどうか、はなはだ疑問に感じる。僕が学生だった10年くらい前なら、Webは補助的なメディアに過ぎないと考えられていたかもしれないし、実際にそうだったかもしれないが、今やWebは多くの人にとって情報の一時ソースであることは、特にSFCにかかわる人や興味を持つ人なら誰しもが認めることだろう。10年前なら、「とりあえず作って、何か目を引くものでも載せておけば」程度で良かったかもしれないが、もうそんな時代はとっくに終わっている。先日も書いたことの繰り返しになるが、やはり「誰が」、「何のために」Webを利用するのかをしっかりと考え、大学として「何を伝えたい」のかをもっとしっかりと意識する必要があるだろう。そのためには、変化し続けるWebというメディアをしっかりと理解しようとする姿勢や、Webを支える基礎技術や新しい技術を適切に利用していこうという意識が求められる。特にSFCはそういった姿勢を忘れてはならないだろう。これを機に、Webについてもっと真剣に取り組む体制を作り直して欲しい、そう強く感じる。

追記

一部日本語がおかしな部分、慶応義塾のロゴに関して誤った記述を修正しました。

この対応について、さらに別記事を書きました。主に対応後のトップページのアクセシビリティに関する問題点をまとめてあります。