医薬品ネット販売に関するパブリック・コメント提出

投稿: 2009年5月18日

医薬品のネット販売を事実上禁止することにつながる制度について、厚生労働省が実施しているパブリック・コメントの締め切りが今日だと知って、慌てて書いて送信した。 (送信したのがついさっきだったので、「締め切り後」の扱いになって、受け取ってもらえないかもしれないですが...。) 以下、全文を貼り付けておく。ちなみにこれ、正式名称は「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」に関する意見の募集、というらしい。

提出したコメント

対象箇所: 郵便などによる販売対象が離島居住者および継続使用者のみとなっている点。

全盲の視覚障害者として、今回の省令改正について見直しを求めます。

全盲の者が医薬品を購入する場合、晴眼者の場合と異なり医薬品に関する情報入手方法が大きく制限されます。インターネットを用いた医薬品販売が行われている場合、用量用法も含めたその医薬品の詳しい情報を、音声合成や点字出力の仕組みを用いることで全盲の者にも読み取ることができる形式で入手することができます。一方、店頭での対面販売しか利用できない場合、十分な情報を得られないだけでなく、用量用法といった消費者の安全と密接に関わる情報を繰り返し参照することが困難となり、結果として適切な医薬品の購入、購入後の適切な服用が困難になります。

インターネットでの医薬品の購入ができなかったころ、私は転倒で何度か風邪薬などを購入したことがありますが、白杖を持った私に対して、私が質問するまで用量用法について一切説明しない薬剤師に何度となく遭遇しました。また、私の場合製品パッケージなどに書かれている説明を自分で確認することはできませんから、その際に受けた説明を正確に記憶しておかなければなりません。しかし、時には記憶が曖昧になってしまうような場合もありました。これらの経験から、私は個人的にはインターネットを用いて十分に情報を収集した上で医薬品を購入し、服用時に再度販売サイトが提供している用量用法についての説明を確認することができるインターネット販売の方が、対面販売よりも遙かに安全であると確信しています。

今回の省令改正では、離島居住者および継続使用者のみが郵便などの手段で購入できる措置が執られるとのことですが、それでは私のような全盲の消費者は適切な判断の下に医薬品を選択・購入し、自信を持って服用する機械を奪われてしまいます。特に、2類医薬品は、備えておきたい薬品が多いと同時に、きちんと調べて購入することが望ましい医薬品であると考えられます。そういった医薬品だからこそ、障害の有無にかかわらず誰もが安心して購入し、安全に服用することができるべきです。

問われるべきは対面かネットかという点ではなく、適切な情報を適切に伝える仕組みが確立されているかどうかという点であるべきです。対面であっても情報が伝わらないのであれば、それは非常に危険性が高いことは明白です。そのような販売業者は対面であってもネットであっても規制されるべきです。反対に、適切な情報提供の仕組みを確立している業者であれば、販売形式にかかわらず販売を認めるべきです。そうすることによってのみ消費者の安全と利便を確保していくことが可能だと考えます。

このような点から、今回の省令改正は不十分なものであり、その見直しを強く要望します。

参考