海外送金サービス「SBIレミット」を使ってみた

投稿: 2011年1月5日

海外への送金というのは面倒なものである。手続きは面倒だし、手数料は高いし、相手に届くまでに時間はかかるし......。我が家ではしばしば海外送金の必要が生じるので、これは頭の痛い問題だ。ところが、先月新たに始まったSBIレミットというサービスが悪くなさそうだったので、早速試してみた。

これまでの送金方法

これまで使ったことがある、もしくは使おうと思って調査したことがある送金方法は以下の通りだ。

  • 小切手系 -- 郵便局の国際送金為替 (international money order) や、送金先の国の銀行に口座がある場合はその銀行の小切手などを使うという手がある。問題点は、小切手を郵送しなければならず、時間もかかるし、本当に相手にそれが届くのかどうか不安だということもある。また、先方で換金してもらう必要がある点も、場合によっては煩わしいことだろう。
  • 銀行送金 -- きっと一番利用されている方法だろう。問題点は、送金する側の手続きが煩わしいことと、場合によっては結構時間がかかること、そして手数料が安くないことだろう。僕が知る限り、日本の銀行から送金する場合、ほとんどの銀行では窓口に出向いて手続きをしないといけないし、オンラインで送金手続きができるシティバンク銀行の場合でも、事前に書面で送金先を登録しなければならないので、送金側の手間は決して小さくない。メリットとしては、送金相手の口座に自動的に振り込まれるので、受け取る側の手間が少ないことと、安全だということが挙げられるだろう。ただし、相手が海外送金を受け入れられる銀行口座を持っていないといけないという、当たり前の前提が、不便になってしまう場合もあるかもしれない。
  • PayPalで送金 -- 自分も送金相手もPayPalを利用していれば、便利な場合もあるだろう。送金側はクレジットカードがあれば送金できるというのは大きなメリットだろう。頻繁に送金する場合などは、円高の時に現地通貨でPayPalのアカウントに入金しておけばお得でもある。送金相手が、しばしばPayPalを支払いの手段に使っているような場合にはさらに便利だろう。ただ、これは送金相手の国にもよると思うが、聞いたところではPayPalから銀行口座への出金の手数料が決して安くないということなので、この点は問題になるかもしれない。

他にもあるのかもしれないけど、とりあえず調べたことがあるのはこれだけだ。

送金手段の比較のポイント

いろいろな手段を比較する場合のポイントを整理すると、だいたい以下のようになると思う。

  • 送金時手続きの簡単さ
  • 送金および受け取りに必要な手数料
  • 送金にかかる時間
  • 受け取りのための手続きの簡単さ
  • 安全性

これらの点について、SBIレミットを使ってみた印象を記してみよう。

SBIレミットの場合

送金手順

SBIレミットで送金する場合の手順は、簡単に書くと以下の通りだ。

  1. 事前登録 (無料) をする。オンラインで申し込み、佐川急便の受取人確認配達サービスで送られてくる、サービス利用に必要な情報を受け取る。この際、保険証などの本人確認書類の提示が必要。この方法で本人確認を行うので、多くの金融系サービスのオンライン申し込みとは異なり、本人確認書類のコピーを郵送したり、スキャンしたイメージをメールやウェブで送信する必要はない。
  2. 送金方法には4種類あるのだが、今回僕が使った方法では、ユーザ毎に開設された送金準備金入金口座に、送金したい金額と手数料を合わせた額を入金。
  3. SBIレミットのサイトで、送金を依頼。以来手続きが済むと、レファレンス・ナンバーが発行され、手続き完了のページに表示されると同時にメールでも送られてくる。 (相手のメールアドレスを入力しておけば、相手にも送信されるということだが、そのメールが何語になるのかが明記されていなかったので今回は指定しなかった。が、FAQを見ると、送金者のアカウントの原語設定依存らしい。)
  4. レファレンス・ナンバーを送金相手に通知。
  5. 送金相手は、本人確認書類とレファレンス・ナンバーを持って、取り扱い窓口で受け取る。受け取りができる窓口はMoneyGram社の拠点となっているところで、ざっと調べた感じだと、世界の主要都市には提携している銀行など、拠点となっているところがそれなりの数あるようだ。

送金手続き

利用に当たって事前登録が必要な点は、煩わしく感じられるかもしれない。しかし、書類の受け取り以外はオンラインでできるのは楽だし、利用登録以外の手続きもオンラインでできるメリットは大きい。

手数料

手数料について詳しくは、SBIレミットのページに掲載されている。送金金額によって違うが、郵便局で国際送金為替を買ってEMS便などで送るのと大差ないような印象だ。 (国際送金為替とEMSの手数料を正確に調べずに書いているので、あくまでも印象、だが。) そして一般的な銀行送金よりはかなり安いのではないかと思う。

この送金手数料に加えて、送金準備金口座への振り込みなどに必要な手数料もあるわけだが、その口座を作る銀行を、みずほコーポレート、りそな、三井住友、シティバンクの中から選べるので、適切な選択をすれば振り込み手数料を低く抑えることも可能だろう。

所要時間

SBIレミットのサイトには、レファレンス・ナンバーが発行されれば即座に受け取りが可能になるという記述がある。送金準備金口座に残高があって、受取人が取扱窓口の営業時間内にすぐ側で待っていたりすれば、1分もかからずに送金できることになる。というのは極端だとしても、今回使ったケースでは、送金手続きをしてから2時間ほど経って、受取人から「受け取った」という連絡があった。所要時間に関しては申し分ないだろう。

受け取り手続き

前述の通り、MoneyGram社の窓口に出出向いて、レファレンス・ナンバーと本人確認書類を提示して現金を受け取るという方法なので、受取人にとって便利な場所に拠点があるかどうかということが大きく影響する。また、やはり物理的に出掛けて行って受け取らないといけないのは煩わしいことだと思う。しかし、その点を除けば手続きそのものは簡単だ。

安全性

送金側では全てをオンラインで実行できるので、扱う金額が少々多い場合でも安心だ。また、送金そのものについても、途中で為替がどこかに行ってしまうとか、銀行間のやりとりがうまくいかなかったとかそういう問題は発生しないはずなので、確実に受取人に届く。安心という意味では、金額間違いなどがあった場合でも、受取人が受け取り手続きをする前ならば無料で取り消しができるというのも良い点だろう。安全性の面で唯一問題かもしれないと感じるのは、受取人が現金で受け取らないといけないらしい点だが、どうやら受取窓口は現地の銀行が担当している場合も多いらしく、そういった場合にはその場で自分の口座に振り込むなり預け入れるなりすればよいので、これはあまり大きな問題ではないのかもしれない。

全体的な印象

利用登録、実際の送金と試してみたわけだが、実に簡単だったという印象だ。利用登録も、サイトには1週間ほどかかるという記述があるのだが、実際には12/24 (金) の早朝に申し込んで、書類が届いたのは12/28 (火) の夕方だった (実際には不在にしていたので翌日再配達してもらったが) ので、実質3営業日で完了したことになる。また、送金準備金の入金確認も、入金してから12分で通知が来ていたので、処理時間に不満はない。

唯一不便だなと感じた点は、僕が今回使った方法の場合、送金依頼に先立って入金が必要なのだが、手数料を含めた必要金額を、自分で手数料を調べて計算しないといけない、ということだった。

ということで、全体的には満足度の高いサービスだと感じる。受取人が銀行口座で受け取りたい場合には使えないが、そうでなければ今後も使うことになるだろう。