ダイソンの扇風機に見る家電UIのアクセシビリティー

投稿: 2020年6月10日

かれこれ20年くらい使っているわが家の扇風機、はねがなにやらガタガタと音を立てるようになって久しいのだけど、去年あたりから気まぐれに首を振ったり振らなかったりするようになってしまい、今年輪とうとう一切首を振らなくなってしまった。 そんなわけで、扇風機の買い替えを検討していてあれこれ悩んだのだけど、検討した製品の中で最高値だったダイソンの製品を、重荷興味本位で買ってしまった。 で、昨日とどいたので、早速使ってみたわけだけど、この製品、スマホアプリとの連携のおかげで、僕にとってはかなりアクセシビリティーが高いものになっていたので、今日はそのあたりを紹介してみることにする。

ちなみに買ったのは、Pure Hot + Cool™ 空気清浄ファンヒーター HP04WSNという製品。

まずはアプリのインストールと初期設定

必要なのは、dyson linkというアプリだ。 僕が試したのはiOs版で、これは概問題なくVoiceOverで利用できる。 Android版については試していないので分からないが、いずれ試してみようとは思っている。

インストール後、メール・アドレス、パスワードと氏名を登録して、アカウントを作る必要がある。 製品購入前にここまでやってみて、なんとなく問題なく使えそうな印象を得たので、購入に踏み切った。

製品をリンク

続いて、届いた製品をこのアカウントに登録する。

事前にマニュアルなどを確認した感じでは、このときマニュアルや製品本体に印字されている、製品番号などいくつかの情報が必要になりそうだったので、OCRでがんばる覚悟をしていた。 ところが、実際にやってみるとそんな必要はまったくなくて、拍子抜けするくらい簡単だった。

まず、製品の電源を入れる これは、本体に1つだけあるボタンを押せばよく、このボタンもタッチ・パネルではないので特に難しいことはない。

電源を入れたら、アプリ上で製品登録を開始する。 すると、 「周囲にある製品を探しています」みたいなことを言って、しばらくすると今回購入した製品名が表示された。 表示された製品名を選択して「次へ」だかなんだかを押したら、その後はたしかBlueToothの使用を許可するくらいで、他には特になにもする必要がなかった。

製品のアカウントへの登録ができると、最後にこの製品が設置してある部屋の名前を設定するようになっている。 どうやらこの名前が、Amazon Echoの連携の際などに使われるらしいが、まだ試していない。

製品の保証登録

1つありがたかった点は、上記の登録作業をすると、製品の保証登録も自動的に行われた点だ。 保証登録のときには製品番号の入力が必須だと思って覚悟していたのだけど、そんな必要はなかった。 しばらくしたら、「保証登録完了のお知らせ」みたいなメールが届いて、そのメールの中に製品番号も書かれていた。

実際に使ってみる

実際に使おうと思うと、本体には電源ボタンしかないので、リモコンの使い方を確認しないといけない、というのがありがちなパターンだ。 が、ここでもスマホアプリが活躍する。

アプリを開くと、「即時コントロール」というボタンがあって、これを押すと本体の操作ができるようになっている。 この画面はほぼ問題なくVoiceOverで利用できる。 唯一、風量を調整するコントロールが普通には使えないが、ダブルタップ&ホールドして指を上下に動かすことで一応操作可能だ。

さらにこの画面では、各機能の動作状況もVoiceOverで確認することができる。 この画面の様子を確認しながらリモコンのボタンをあれこれ押してみると、時間はかかるもののリモコンの各ボタンの役割をだいたい理解することができた。 一部よく分からない部分もあったものの、,Web上で公開されているPDFのマニュアルを確認することで、完全に理解できた。 (と思う)

ある意味理想的な家電のUIの形

ダイソンがどれだけ資格障害者の利用を考慮した製品開発をしているかは分からない。 アプリのVoiceOver対応の中途半端な感じからすると、それほど強く意識しているわけではないような気はするが……。 少なくとも本体には資格障害者の利用を意識した工夫はないように思う。

ところが、たまたまVoiceOverでアプリをそこそこ使えることで、リモコンの使い方が分からなくても操作が可能で、動作状況の確認もできる。 さらには、製品の保証登録まで誰かの目に頼ることなくできる。

もちろん本体がアクセシブルなのが理想的な形だともいえるとは思うものの、晴眼者でもリモコンを使わないとできない操作があるのだから、本体のUIに固執する必要もないだろう。 また、表示についても、本体に搭載されているディスプレイを見ることができない場合に加えて、見ることが難しい人や状況があることを考えると、ニーズに合わせて見え方を調整できたり、読み上げさせたりすることができるアプリで確認できるというのはやはり好ましい方向性だといえるだろう。

今回のこの製品については、金額的にそれなりに高いのでこういうことが可能という側面も大いにありそうだけど、もっとこういう形が一般的になって欲しいものだ。