PCの音楽をリビングで

投稿: 2006年11月26日

ちょっと前の話になるが、AV Watchの記事で、プラネックスからGW-AP54DBという製品が発売されることを知った。これは、無線LANのアクセスポイントに、デジタルおよびアナログの出力プラグがついていて、これを適当なオーディオ・システムに接続すると、ネットワーク上の PCから、この製品を介して接続されたオーディオ・システムへ音声出力できる、とまあ簡単に言えばそういう製品である。かねてからこういう製品を探していたので、記事を読んだ瞬間に注文することにした。発売前で、取り扱っている所も少なかったようだが、その中では意外にも Amazonでの価格が他よりも随分安かったので、早速予約を入れてみた。

前述のとおり、以前からこのような、 PCの音をネットワーク経由でオーディオ・システムに出力するための方法を考え続けてきた。理由は簡単で、主に使っている PCがあるのと、主に使っているオーディオ・システムがあるのが別の部屋だからだ。これまでこのようなことを簡単に実現できる方法を見つけられなかったので、僕は PCで音楽を聴くということをあまりしてこなかった。もちろん PCの前にいる時には効くこともあって、 PCのサウンドの向上などにも多少のお金をつぎ込んではいる。しかし、音楽を聴くためにわざわざ PCの前に行きたいとは思わないので、やはり今回見つけたような製品が欲しかったのである。

と書くと、ネットワーク経由でオーディオ・システムへ出力するための製品がこれまで全くなかったようだが、実はそうでもない。 AppleのAirMac Expressは、基本的にこの目的を達成してくれる製品だ。しかし、一つ大きな問題点がある。それは、この製品の場合、 iTunesからしか出力できない点だ。僕が使っている JAWSという画面音声化/点字化ソフトでは、 iTunesはきわめて使いにくい。実は JAWSで iTunesを使えるようにするための JAWS用のスクリプトというのも存在するのだが、これは売り物であり、 iTunesを使うためにわざわざ追加投資をしたいとはとても思えないので、僕はこれには手を出していない。 (が、デモ版を使ってみた漢字では、このスクリプトは結構よくできている印象ではある。) そして、もし仮に iTunesが使いやすいソフトウェアであったとしても、一つのプレイヤーに縛られなくてはならないのが、なんと言っても気に入らない。 iTunesをものすごく気に入って使っていたとしても、いつ何時より使いやすい物に出会うかは分からないのである。そんなこともあって、 AIrMac Expressは面白い製品だとは思ったものの、購入はしなかった。ちなみに、同じ理由で iPodも購入していない。 (ただし、 iPodに関しては、最近僕も愛用しているプレイヤー Winampで、 iPodを使えるようにするプラグインというのが出回っていて、これを使えばなかなか快適そうなので、もしかするとそのうち購入するかもしれない。)

さて、前置きが長くなったが、肝心の GW-AP54DBだが、待てど暮らせどなかなか届かなかった。よく覚えていないなのだが、 9月の中頃に注文して、 9月末の発売と同時に発送される予定になっていたはずのものが、なぜか 10月の半ばを過ぎてもまだ届かなかった。 Amazonで確認してみると、発送予定日は 10月初旬のままだった。仕方がないのでもう数日待ってから、再び Amazonを見てみたのだが、やはり状況に変化なしだった。ところが、 Amazonの製品ページを見てみると、なぜか在庫が 3点あるという表示……。なんだかすごく裏切られたような気持ちになりながら、即座に放置されていた注文をキャンセルして、注文し直した。その結果、その二日後に、当初の予定よりも 3週間ちょっと遅れて、そいつは我が家にやってきた。

さて、ここからようやく本題。早速設定してみた。製品そのものは小さいので、どこにでも置ける感じだ。また、比較的長いデジタル・オーディオ用のケーブルもついてくるので、設置に困ることはなかった。とりあえず我が家の LANとオーディオ・システムに接続してから、付属の CD-ROMに入っていたドライバーをインストールした。設定ウィザードがインストールされたので、これを起動して適当に設定すれば基本的に設定修了である。

設定が修了すると、 PCの側には新たにサウンド・ディバイスが追加される。ただ、追加されただけではどうやらまだ使えないらしく、このディバイスと、 GW-AP54DBを明示的に関連づける作業をしてやらなければならないようだ。これは、 GW-AP54DBが複数台あるような環境などを考慮してのことらしい。この作業は、思い出したようにポップアップしてくる GW-AP54DBのダイアログの Audio Linkのタブからできるらしいのだが、どうも JAWSを使っている場合、これが簡単ではないらしい。もう一つの方法として、システム・トレイにある GW-AP54DBのアイコンを左クリックすると、出力先として指定可能な機器の一覧が出てくるので、ここで当該の機器を選んでやるという手もあって、これは僕にも簡単できるようだった。

ここまで設定してしまえば、後は Winampなどのプレイヤーの出力先としてこのサウンド・ディバイスを選んでやればよいというわけだ。もちろん、 PCから出るあらゆる音をこのディバイスに出力することだってできる。やってみるとこれはかなり便利である。そして、特にラップトップの場合は、言うまでもなく音質が格段に良くなる。これで PCの前にいなくても、 PCに保存されている音楽を聴くことができるようになりそうだ。もちろん、素直に CDを聴けばいいという話もあるのだが、聴きたい曲がある時、 CDを必死になって探してきくよりも、 PC上のライブラリで検索して該当するファイルを再生する方が、はるかに簡単そうなので、このシステムにはこれからお世話になりそうである。

最後に、気づいた点をいくつか書いておこう。まず、製品紹介を見ると、オーディオ出力をするためには、 PCがワイアレスでつながっていなけれはいけないのかもしれないというような印象を受けたのだが、ワイアレス・ディバイスがない PCを、同じ LANに有線で接続してやっても問題なくオーディオ出力の機能が利用できた。それからもう一つは、この機器の詳細設定をするための Webインタフェースにはバグが多いようで、設定変更をした後にそれを保存するためのボタンが表示されないページなどが散見される。僕は ESSIDをブロードキャストしない設定ができずに困っている。しかし、 IPアドレスや ESSID、 WPAなどの設定は設定ウィザードからできるので、とりあえずは使う上では問題はない。しかし、こんな製品を出荷するようではどうしようもないというのが正直な感想だ。問題を解決したファームウェアを早く出して欲しいものである。

というわけで、ネットワーク機器としてはお話にならないレベルの問題があるものの、やはり機能面では類似品がないため、このようなことをしたい場合には有力な選択肢となるだろう。

アクセスポイント 5.1ch Dolbyオーディオ GW-AP54DB